トンネル工事

Tunnel_construction
山がちな国土の日本では、インフラ整備のための土木工事でトンネル工事が必要となることはめずらしくありません。そのため、これまで数多くのトンネルが造成され、世界に誇る土木技術が磨かれてきました。代表的なトンネル工事工法としては次のようなものがあります。
山岳工法
山の下をくぐる多くのトンネルはこの方法によって作られています。機械や人力で掘削するので、土中の障害物や地質の変化などに柔軟に対応できることが特徴です。山岳工法の中でも代表的なNATM(ナトム)工法の手順は以下の通りです。

削孔

ジャンボという機械で穴を掘り、ダイナマイトを入れます。1度に2~3個の穴が掘られることが一般的です。トンネルを造成しようとしている場所の状態によって、穴を掘る場所、ダイナマイトの数などを調整します。

装薬

穴の中にダイナマイトを入れていきます。かつては人力によって行われていましたが、危険を伴う作業でした。そのため、最近では遠方から機械を操作してダイナマイトを充填する方法も開発されています。

爆破

ダイナマイトを爆発させて岩盤を砕きます。この時、一度にすべてを爆発させるのではなく、トンネルの内側になる部分から順番に爆発させますが、これは岩をより簡単に崩すためです。

ズリ処理

爆砕によってできた小さな岩をズリと呼びますが、これを外に運び出す作業をズリ処理といいます。トラクターショベルでかき出してダンプトラックで運び出す方法が主流です。ベルトコンベアー、トロッコなどが使われることもあります。

支保工設置

ダイナマイト爆破によってできたトンネルの原型が崩れないように、支保工を設置します。支保工とは鋼鉄製の支えのことです。複数の支保工をボルトで接合しますが、支保工の種類、設置間隔などは山の状態によって違ってきます。

コンクリート吹付け

掘ったトンネルの壁を強化するために、コンクリートを5~15cmの厚さに吹き付けます。コンクリートミキサー車でコンクリートをトンネル内に運び込み、吹付け機を使って吹き付けます。

ロックボルト設置

吹付けが完了したら、3~4m程度のロックボルトという鉄の釘を山に突き刺します。トンネルは削孔からロックボルト設置までの作業を繰り返しながら掘り進められますが、1回の作業で1~1.5mほどしか進めません。1kmあたり700~1000回もの作業が必要なのです。

防水工とコンクリート覆工

一通りトンネルを彫り終わった後、トンネル内への漏水を防ぐためにビニール性の防水シートが貼られます。さらにその上からセントルという半円形の型枠でコンクリートの壁を作っていきます。最後の仕上げとして、壁をきれいにしたり、電灯、換気設備、防災設備を設置してトンネルの完成です。
シールド工法
シールドマシンという筒状の機械で土をゆっくりと掘り進める工法です。シールドマシンには、掘ったところから崩れていかないようにさまざまな工夫が凝らされています。比較的新しい工法ですが、高い安全性が評価されていることが特徴です。

土を削る

シールドマシン前面にはカッターフェイスという部分があり、何百というカッターが取り付けられています。シールドマシンはカッターフェイスを高速回転させながら、ゆっくりと前進していきます。こうすることで少しずつ固い地盤を削って行くのです。

土を運び出す

削られた岩盤は、シールドマシン内部にあるスクリューコンベアに乗せられます。やがて後方のベルトコンベアまで運ばれ、トンネルの外へと排出されるのです。

トンネルの壁を組み立てる

シールドマシンは岩盤を掘りながら、同時にトンネルの壁を組み立てていく機能を持っています。シールドマシンが前進した後に、分割された部品を組み立てて壁を形成していきます。これらの「土を掘る」「土を運び出す」「トンネルの壁を組み立てる」という作業を少しずつ繰り返しながら、トンネルが完成していくのです。トンネルを掘り終えたところで、シールドマシンは解体されて外に出されます。

舗装と仕上げ

最後に床面をコンクリートで舗装します。仕上げに換気設備、照明設備などを作ってトンネルの完成です。

山岳工法とシールド工法のメリット・デメリット

山岳工法は少人数で施工できることや、急に固い地盤が出現した時などに臨機応変に対応できるのがメリットです。しかし、大がかりな設備が必要な点、事前に地質に関する綿密な調査が必要な点に注意が必要です。一方、シールドマシン工法は、崩れやすい地盤でもすぐに壁を作ることで、トンネル工事を可能にしました。ただし、シールドマシンは非常に高価であるにもかかわらず、工事終了後に解体処分され再利用できないところがデメリットともいえます。それぞれの土木工事の現場、予算などによってふさわしい工法を選択するようにしたいところです。

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